人気ブログランキング | 話題のタグを見る

村上富朗さん 「木の椅子百脚」展。

村上富朗さん 「木の椅子百脚」展。_d0108212_2324885.jpg



今日は東御市で一日かぎりで開催された
村上富朗さんの「木の椅子百脚」展へ。

村上さんは御代田町の浅間山山麓にある工房で
ウィンザーチェアやシェーカー家具づくりに取り組まれてた
現代日本を代表する木工作家。

会場には、村上さんがこれまで作ってきた椅子たちの中から
100脚以上が集められ、工房での制作風景をうつした写真と
ともに展示されていました。


日本の住宅建築の巨匠、吉村順三さんの仕事にも
携われていた村上さん。

27歳のころにアメリカンウィンザーチェアの魅力に魅せられ、
以来30有余年、作られてきた椅子は何百脚にも及ぶそうです。

会場には、村上さんとともに仕事をされ、長年親交の深い
建築家の中村好文さんや工芸家の三谷龍二さん、
雑誌「考える人」の編集長もされていた編集者の松家仁之さんが
ゲスト対談。村上さんとの長年のエピソードをお話しされました。

木工職人の四代目として育ち、幼少のころ気づけば
かんなくずの中で遊ばれていたこと、
国内だけでなくアメリカの工房でも家具づくりに従事する中で、
その素晴らしい技は今なお海外の作家からも賞賛されていること。
職人としてコツコツと制作に励みながらも
お酒や音楽が大好きで、その朴訥とした人柄で
多くの人から愛されていること。

一つひとつのお話が楽しく、
とてもあたたかい空気が会場を包み込んでいました。


村上富朗さん 「木の椅子百脚」展。_d0108212_0253490.jpg




そして今日の展覧会、実は企画自体がスタートしたのは
ほんの一ヶ月あまり前のこと。

通常では考えられないほど短い準備期間の中で、これほどの
魅力的な会が実現したのは、村上さんとともに家具づくりに
携わってきた長野県の木工作家の皆さんの協力の賜物でした。

企画スタート直後から、どんな展示にするのか、また
村上さんの手元から多くの方の元へ“お嫁入り”していた
椅子たちの所在リストをつくり、展覧会のために一日だけ
お借りする許可を取り付けていく――。
木工作家仲間の皆さんのネットワークの中で、
連日連夜メールや電話で連絡を取り合いながら、今日という日を
迎えたのだそうです。

後半のゲスト対談では、今回の展覧会を中心メンバーとして
企画された谷進一郎さんや、高橋三太郎さん、須田賢司さん、
東京国立近代美術館の諸山正則さんが
木工作家から見た村上さんの仕事ぶりを語られました。

壇上に上がった方々だけでなく、今日の展覧会のために
奔走した多くの木工作家の皆さんが、仕事仲間でもあり、
強い絆で結ばれた親しい友人でもあるのだと感じました。



村上富朗さん 「木の椅子百脚」展。_d0108212_2324819.jpg



子どものころ両親に連れられ村上さんの工房へ遊びにいったこと。
村上さんが中村好文さんと一緒に作った
ツリーハウスにのぼらせてもらったこと。
かんなくずの中にいるカブトムシの幼虫をもらったこと。
展覧会場を歩きながら、本当に多くの思い出が浮かんできます。

そんな大切な親戚のおじさんのように感じてきた村上さんが、
一人の木工作家として、どれだけ素晴らしい作品を生み出し、
どれほど多くの人たちに愛されているのかを感じました。


今は病気の治療に取り組まれている村上さん。
早く良くなって、これからも素晴らしい椅子をつくり続けて欲しい。
心からそう祈っています。
by thinking_grove | 2011-06-19 08:00 | 雑記


生活と絵


by thinking_grove

日々の生活の中で、観ることや感じること、そして絵のことを中心に。

伊藤夕歩

●HP
Thinking Grove


CERAMIC STUDIO FUSHA

以前の記事

2016年 08月
2012年 03月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
more...

カテゴリ

全体
スケッチ
散歩
雑記
長野
東京

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧