美登利屋工務店 信濃の舎
土曜日は長野市の美登利屋さんの
展示場「信濃の舎」のセミオープンに伺った。
漆喰の壁と漆塗りの床、障子、ベンガラ色の窓。
素材、部材の全体的な調和が取られ、独特の雰囲気。
「信州の木の家」はここ数年で多くのビルダーに取り入れられ、
標準化してきている。
県産材の活用や、住宅のレベルアップという面でとても良いことで
ある一方、どうしても各社の建てる建物が似てきていたことは
否めない。
そういった面で、この春に完成した「信濃の舎」は、これまでにない
新しい提案。今後の信州の住宅建築に一石を投じる一棟になると
感じる。
窓の配され方も面白い。
リビングの縦長の窓から差し込む光は、時間の経過とともに様々に変化し、
なめらかな漆喰の白壁に吸い込まれていく。
和室。リビングダイニングからつながり、抑えられた天井高で
落ち着きのある空間。
壁は和紙の仕上げ。
節の無い琉球畳も、ざっくりとした質感できれい過ぎず、目が美しい。
窓も低く抑えられており、座った時の視線を考えられている。
床柱は木の皮がそのままの仕上げ。
今日招かれていた建築士の一人の方が、
「ここに生えていた木をそのまま生かしているんだよ。木の位置で家の間取りが
決まったのさ」
と、知人の建築士の方に冗談まじりにお話しして、みんなでおかしくて笑ってしまった。
木の柱は独特の乾燥法で実現するものだそう。
和室に入るとまず目がいってしまう程の存在感があり、とても楽しい。
外観は一階部分の外壁が漆喰の白壁、
二階部分は杉板にシルバーグレイ塗装。
コントラストある組合せが思いのほか馴染んでいるのは、
二階部分と同様に塗装された木塀があるからかもしれない。
表の接道に対して建物が斜めに振られている。
前を走る車窓からの眺めは場所によって変わるだろう。
玄関。土間部分には、近々、漆塗りの木ブロックが並べられるそう。
大きく取られた窓からは日の光がたっぷりと。
かなりの広さがあり、自転車くらいのちょっとした大きさのモノなら
置いておけそうだ。
二階ロビーの上下階をつなぐ吹抜け部分は書斎スペースでもある。
何人かが並んで座れるくらい余裕のあるスペース。
書斎スペースの後ろの窓はテラスへの出入り口。
テラスに出ると、長野市から西方向の山々がきれいに眺められる。
美登利屋工務店の本社がある小川村方面が見える。
自分たちの生まれた地域を大事に考えていることが
伝わる設計。
寝室。
ベッドを置くところの天井部分は、他に比べて高さを抑えている。
写真左側に見える階段はロフトに上り下りするためのもの。
階段にはステップごとに細いラインが埋め込まれている。
歩いているとステップの境界ラインを足裏に感じられ、
安心感を持てるつくり。
お風呂がすごい。
立派な浴槽の木、石の仕上げは高級感があり、まるで旅館のよう。
お風呂横にある中庭。
浴室からも眺められ、また室内からもベランダに出られるように
なっている。これも贅沢!
お風呂の扉はガラスになっている。
明るく、広く感じられる。
リビングでは建築士会の方々と社長の森望さんが談笑。
「ここを事務所にしよう!でも仕事をする気にならないよなあ」
「ジャズなんか流してたら、ウイスキーがほしくなるよ」
すごく楽しそうに話していた。
一日いて、空間の居心地の良さに驚いてしまった。
道が近いけれど、静かでゆったりとした時間が流れている。
また訪れたいと思える場所。
by thinking_grove
| 2010-04-11 17:13
| 長野