スタジオジブリ レイアウト展
先日の上京の際、東京都現代美術館で開催されていた
『スタジオジブリ レイアウト展』を観にいきました。
これまで、「レイアウト」という言葉自体を良く知らなかったのですが、
スタジオジブリでの映画づくりにおける、絵コンテの次の工程にあたるそうです。
●まず、映画のストーリー全体の流れや場面のおおまかな様子を「絵コンテ」として
監督によって描かれます。
●その絵コンテをもとに、一つ一つの場面における背景描写や、キャラクターの
表情・配置を画面内にどうつくるかを示す役目を果たす物が「レイアウト」となります。
●要所要所の場面が描かれたこのレイアウトをもとに、アニメーターがキャラクターの
動きをつくり、背景美術担当がキャラクターの背後の風景をつくっていくことになります。
…
レイアウトは宮崎駿監督や原画担当のスタッフの方々によるもの。
とまあ説明はさておき、現物はやっぱりすごかった!
紙の上に鉛筆や色鉛筆で描かれた一枚一枚の完成度、線の密度…。
会場にならぶレイアウトを眺めながら、最初から最後まで圧倒されっぱなしでした。
そして絵の素晴らしさはもちろんなのですが、
一番興味深かったのがレイアウト紙の中に書き込まれた指示の言葉。
「こう動かしてください」、「こんな表情で…」、「背景様お願いします」といった
監督や原画担当の方の意図を伝える短い言葉の数々。
短く端的な指示が紙一枚の中に2、3個書かれている程度でも、
つくり込まれた絵にそえられているので見る側に強くに伝わってきます。
レイアウトを観ながら、「ああ、あの場面だ。こっちはあの場面…」とすぐに思い当たります。
ただ考えてみれば、そういう風に映画とレイアウトがすぐに分かるのは、自分が完成された
映画を観ているから。
でも映画を作っていた側の制作現場では、監督の頭の中ではじまったストーリーを
制作に関わる大勢のスタッフにいかにイメージとして共有できるようにするのか。
まさに、その手段としての「レイアウト」なんだなあと感じました。
そして日本アニメ界における、この「レイアウト」という手法を確立したのが
宮崎・高畑両氏だったそうです。
会場内で放映されていた映像の中で、レイアウトを行うようになった過程における
宮崎監督をかたる高畑監督の言葉が印象的でした。
広い展示スペースの最後のあたりでは、写真撮影OKのスペースも。
こちらの壁面に面白い模様が…。
近くで見たら、「真っ黒クロスケ」が壁一面にくっついていました。
展示会来場者が描いたものをどんどん壁に貼っていく企画らしく、
なんだか良かった。
午後から観にいったものの、眺めていたらあっと間に時間が過ぎてしまった。
会場の外に出たら夜でした。
by thinking_grove
| 2008-09-29 00:43
| 東京